ロック・アップ

ロック・アップ [DVD]

ロック・アップ [DVD]

出所を間近に控えながら突然“地獄の館”と呼ばれるハイテク刑務所へ移送されてしまった男の壮絶な死闘を描いた、シルベスター・スタローン主演によるバイオレンスアクション。

最近ストレスがたまってるのかやたらと溜飲が下がる内容の映画が見たいのですが、今回はシルベスター・スタローン主演のロック・アップでございます。かなり昔にテレビの洋画劇場で見て良かった記憶があるのですがあらためて見てもなかなか面白い。しかしこの作品興行的にも失敗だったそうでスタローン主演作品としてもほとんど忘れられてるような感じですよね。つかAmazonの商品の紹介欄ですらボロクソに貶されてる始末。

1989年の駄作『ロックアップ』をはじめとするくだらない作品に出演しながら、シルベスター・スタローンが生き残って90年代にマシな映画を作ったのは驚異だ。これはスタローンが『ランボー3 怒りのアフガン』と『ロッキー5 最後のドラマ』の間に押し込んだ、マッチョなアクションもののひどい作品だが、スタローンのファンたちは特に気にしていないようなので、批判しても意味はないだろう。1989年に彼が出演したもう1つの駄作(『デッドフォール』)ほど悪い出来ではないが、よほど理性を失った状態か酔っているか、あるいはかなり低いスタンダードの持ち主でなければ、これを“いい映画”とは言わないだろう。しかし、もしワイルドな気分なら、このすすけた映画を観て快感を覚えるだろう。あと6か月で仮釈放を迎えるという時に地獄のようなゲートウェイ刑務所に移送される模範囚のフランク・レオーネを演じるスタローンの筋肉たっぷりの存在がなければ、Z級のエクスプロイテーション映画にうってつけだった作品だ。陰険なほど厳重警備のその刑務所は所長のドラムグール(ドナルド・サザーランド)が支配しており、彼はスタローンへの過去の恨みを晴らそうと心に決めている。…とここまで言えばたぶん後は想像がつくだろう。監督のジョン・フリンは、この作品で名を上げはしなかったが(その後も続けて「アウト・フォー・ジャスティス」や「ブレインスキャン」といったどうでもいい作品を監督した)、予想よりはスタイルのある映像を見せている。そして、スタローンはこの役を大真面目に演じているせいで、意図せずしてコメディになってしまった大爆笑のこの作品を、観客は文句なく楽しむことができるだろう。(Jeff Shannon, Amazon.com

そこまで言うたらんでもええやろー!ひでぇ。商品の紹介ですよレビューじゃないですよ念のため。そりゃ単細胞な内容ですげえ傑作というわけではないですがこれほど叩かれるような駄作ではないと思いますよ私は。卑劣な嫌がらせや理不尽な虐待にひたすら耐えて耐えて爆発というカタルシスを味わうという点ではかなり気持ちのいい映画ではないかと。で、スタローンは耐えて堪忍袋の緒が切れる役やらせると素晴らしくて情念がシンクロしますな。一方悪役の刑務所所長を演じるドナルド・サザーランドがこの上なく憎々しくおまえ張り倒したろかーっ!感が半端じゃないです。おかげで最後に所長がこれでもかと追い詰められるとこもざまあみろでスッキリ。良い意味で泥臭い人情ドラマもあって悪くない作品です。“いい映画”とまでは言わんけどね。