魔法少女育成計画

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)

大人気ソーシャルゲーム魔法少女育成計画』は、数万人に一人の割合で本物の魔法少女を作り出す奇跡のゲームだった。幸運にも魔法の力を得て、充実した日々を送る少女たち。しかしある日、運営から「増えすぎた魔法少女を半分に減らす」という一方的な通告が届き、十六人の魔法少女による苛烈で無慈悲なサバイバルレースが幕を開けた……。第2回「このラノ」大賞・栗山千明賞受賞作家の遠藤浅蜊が贈る、マジカルサスペンスバトル!

いやはや。魔法少女まどか☆マギカの劇場版を見た勢いでダークな魔法少女ものを読んでみようと思って読んでみたら抜群の面白さ。ダークではあるがまどか☆マギカとはまったく質感の違うダークさだし、タイミング的にも影響は与えているかもしれないが確固たるオリジナリティーがある内容。16人の魔法少女が生き残りを賭けて闘う、というシンプルなストーリーはバトル・ロワイアルを思い出すがそれ以上に山田風太郎忍法帖シリーズを強く想起した。様々な異能力者のバトルの組み合わせからくる先の読めない面白さがかなり近い。で、簡素でクールな文体やシニカルで冷静な視線がまた山田風太郎を思わせる。魔法少女同士が戦わざるをえないシチュエーションを序盤で作り込んでいく作劇も似ている。かくて文庫本一冊で高密度のサバイバル戦が展開。16人魅力的でキャラの立ちまくった魔法少女はどんどん容赦なく倒れていくわそれぞれの思惑が交差して展開がまったく読めない。16人のキャラは扉絵のイラストで紹介があるので混乱しないし、それは今時のライトノベル的な仕掛けで読みやすかった。魔法少女やソーシャルゲームという題材も今風だと思う。しかし作品そのものは良い意味で古い型のエンターテイメント作法で書かれている気がする。普通のライトノベルだとこのネタで数巻は引っ張れるように書くと思うし。ライトノベルから読書を始めた読者は戸惑うように思えるけれど私はこの濃さはなんとも懐かしい。陰惨極まりない話ではあるがキャラクターから一歩距離をとったほどよく感情移入させすぎない文章のバランスが見事でむしろ爽快感すらある。

魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)


さて、続編が出るようで一冊で綺麗にまとまった話をいかにつなげていくのかわからないけれども大いに期待。出来れば1作目の密度は維持していただきたいところ。
江戸忍法帖 山田風太郎忍法帖(8) (講談社文庫)

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バトル・ロワイアル

バトル・ロワイアル


魔法少女まどか☆マギカ 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]

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