マルドゥック・スクランブル 排気

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冲方丁原作、第24回日本SF大賞を受賞した「マルドゥック・スクランブル」のシリーズ完結編となる第3部「排気」がこの秋遂に公開。

賭博師シェルの犯罪に巻き込まれた少女娼婦バロットと、委任事件担当官のネズミにして万能兵器のウフコックは、宿敵ボイルドとの激闘後に訪れた“楽園”にて、シェルの移し替えられた記憶は彼が経営するカジノの百万ドルチップの中に隠されていることを知る。

バロットは、シェルの罪状を白日の下に晒すため、チップを手に入れることを決意。
シェルの経営するカジノへ乗り込んだバロットは、ウフコックとの見事な連携により、伝説の女性スピナー、ベル・ウィングをも制した。

しかし、そんなバロットの前に、最強のディーラーにしてハウスリーダーであるアシュレイが立ち塞がる…。

最後に挑むゲームは、“ブラックジャック”。
果たして、バロットはアシュレイを破ることが出来るのか?

そして、ボイルド、シェルとの戦いの行く末は?

命をかけた最終決戦がはじまる。

3部作完結編にして3作中もっとも充実した仕上がりだったと思います。2作目で顕著だったカジノシーンの忙しなさも今回はほぼアシュレイ戦に絞っていてヒリヒリした緊迫感がよく出ていました。そこからの話の畳んでいき方もコンパクトにまとめていたしなんといっても最後のボイルドとの対決が素晴らしかった。静から動へ移行する呼吸が見事であったし人間を超えた超人同士の銃撃戦というものが描けていたと思います。アクションシーンが短いというのも逆に効果的でこの場面に限らず音楽による情感の出し方は巧みでした。惜しいのは完結編だというのに余韻に欠けるということですねー。もう一つのビジュアル化として大今良時による漫画版がありあれが傑作だっただけにどうしても比較してしまう、というのもあります。で、作り手も間違いなく大きな枷になって難儀したであろう尺の短さですかね。それゆえに研ぎ澄まされてシャープになった点も大きいですが時間をとって描写すればより膨らみが出たはずの場面もあってそこはなんとももったいないです。それでも原作小説の芯の部分は確実に捕らえていて全3作劇場で見た甲斐はありました。作り手に原作愛があるのはひしひしと伝わりますし、原作者の冲方丁が脚本として参加していたのも強みだったのではないでしょうか。あと完結編ではバロット役の林原めぐみとボイルド役の磯部勉両氏の声の演技に凄みを感じました。あれほど情念が表現されてこそ人物が生きてくるし2人が闘うクライマックスが素晴らしいものになったのだと思います。

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