憂鬱なヴィランズ

その絵本を読む者は悪(ヴィラン)に染まる 「赤ずきん」の嘘つきオオカミ、「白雪姫」のいじわる王妃、「青髭」の殺人公爵など、童話やおとぎ話の悪役たちが勝利するという最悪の結末が描かれた絵本【ワーストエンド・シリーズ】。 その中に棲む悪役たち(ヴィランズ)は、絵本を所有した人間に取り憑き、その醜い欲望を剥き出しにする――。 親友の失踪、バスジャック事件、高校生・笠木兼亮の周囲で起こる異変の数々は、これから始まるさらなる事件への前兆だった。そして、蒼い目を持つ少女・帯刀月夜と出会った瞬間から、彼は不可思議な戦いの渦に巻き込まれていくことになる。悪役(ヴィラン)に借り受けた異能力を使い、罪を犯す者と、それを阻止する者たち。互いの能力を駆使し死力を尽くした戦いの幕が上がる。 第5回小学館ライトノベル大賞ガガガ大賞受賞『こうして彼は屋上を燃やすことにした』で鮮烈なデビューを飾ったカミツキレイニー、待望の新作!

異能バトルものですが全編ダークでダウナーな雰囲気に満ちていて痛快なアクションがあるわけではないです。そのへんは表紙イラストとタイトルから読む前にわかったし独特のムードには味がある。ちょっと困るのは陰鬱なタッチが作品から活気まで奪うような効果になってしまってどうもお話に入り込めないとこですかね。語り口も簡潔ではあるのですが素っ気なさすぎてよくわからないところもあるし、で。シリーズ第一作でもちゃんとまとまっている部分は買えるんですがねー。ツカミとしては弱い感じがいたしました。魅力がないわけではないのですが設定負けしてるというか。2作、3作と続いていけば化けるかも、ですがとりあえず今のところはこんな感じです。