大帝の剣5 <聖魔地獄編>

大帝の剣5 <聖魔地獄編>

大帝の剣5 <聖魔地獄編>

夢枕獏が描く、最初で最後の超長編伝奇小説『大帝の剣』。26年の歳月を経て、ついに、完結! 「時間はかかったが、ちゃんと終わらせたぜ。もう、20年かかる物語を書くわけにはいかないが、やる時きゃやるんだよ、このオレは。」本書あとがきより抜粋

いろいろ私なりに思うこともたくさんあるわけですよ。執筆再開後の展開が完結させること前提なのでワクワク感が下がっていたり、おどろおどろしたものが設定語られることによって理に落ちてしまったり。んで15年も中断してたわけですから読者としても期待するものがその間大きくなりすぎて完結してみればそれを超えるものではなかったな、と。しかし構想26年とか15年の中断を経ての再開とか年月のことを抜きで考えるとこれはかなり面白い小説だっだですよ。4巻は物語が停滞してこのまま話が萎んで終わってしまうんだ、とがっかりしてたんですが5巻は息を吹き返したように人物が躍動しましたな。特に宮本武蔵と佐々木小次郎のリベンジマッチくだりは素晴らしく鳥肌もの。終盤の二転三転する展開もなかなかでございました。あんまり二転三転するんで何がなんだか、になった部分もありますけどね。ようやく迎えたラストも着地すべきとこに着地はしたし。それでもやっぱりまた思ってしまうんですけども大帝の剣は綺麗にまとまるよりはもっと八方破れであってほしかった。また15年前掲載誌がなくなることなく書き継がれていたら?オミットされたシルクロード編が読むことができたら?とかね。ま、長大な伝奇小説を完結させるのはどの作家も苦心するところなんでしょうが今の夢枕獏に出来る最大限の結果ではあったと思うし、全5巻楽しく読ませてもらいました。時代や版元が変わってもカバーイラストで天野喜孝が起用されていたのは気分を壊さず何気に良かったです。

大帝の剣 [DVD]

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映画化された大帝の剣は伝奇ロマンの奔放さを、ただなんでもありのおちゃらけと解釈して作った映画であんまり好きじゃありません。すでに内容すらまともに覚えてないけど良かったのは雑多な内容を一本の作品にまとめてたぐらいかな?この企画あってこそ小説が再始動して完結したわけだからこの映画にも意義はあったのかもね。もう一回見る気はぜんぜんないけど。
完本 妖星伝〈1〉鬼道の巻・外道の巻 (ノン・ポシェット)

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大帝の剣読んでいていろんな先行作品連想しましたけど半村良の妖星伝の影響を一番感じましたね。これもかなり間隔開いて完結した小説だし。つーかよく考えたら最後まで読んでねえわ。これもいずれちゃんと読みなおそう。